【8年連続で増加】不登校の原因が分からないときの対処法|相談先も紹介

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みなさんはこれらのニュースを目にしたことがありますか?

コロナ禍によって、小・中学校で不登校の児童生徒が増加したという内容です。

実際、私が勤めていた学校でも、コロナ禍で不登校児童が増加していました。

とても心が痛む話題であり、この状況はとても深刻だと私は感じています。


この記事は、子どもが不登校になって悩んでいる方向けに書きました。

もし、身近に不登校のことで悩んでいる方がいる場合は、ぜひこの記事を紹介してください。

みなさんにとって、この記事が不登校のことを知るきっかけになればうれしいです。

この記事で分かること

・文部科学省が定めている「不登校」の定義

・「不登校」に関する令和2年度の調査結果

・「不登校」になってしまう原因

・「不登校」の原因が分からないときの対処法

・「不登校」について相談できる公的・民間機関

※この記事では、小・中学校の不登校について記述しています。

※以下の公的機関サイトを参照して、記事を執筆しました。

文部科学省が定める不登校の定義

不登校は、「理由別長期欠席者」を理由別に分けるときの理由の一つとして用いられている用語です。

理由別長期欠席者数については,「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄の日数により,年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒について調査している。

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説|文部科学省

指導要録とは、学校で保管している成績や出席状況などを記録しているものです。

理由別長期欠席者は、「病気」「経済的理由」「不登校」「その他」の4つで分類されています。

不登校の定義は、以下のように示されています。

「不登校」には,何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者 (ただし,「病気」や「経済的理由」による者を除く。)を計上。

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説|文部科学省

つまり、不登校と判断されるのは「病気や家庭の経済的理由以外で、年度内に30日以上の欠席をした場合」ということです。

令和2年度の調査結果|不登校は過去最高の19万人超え

文部科学省は、2021年10月13日に、「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」

(以下、文科省の調査)を公表しました。

今年度は、新型コロナウイルスの感染回避という項目が追加されて、調査が行われています。

小・中学校における長期欠席者は287,747人で、内訳は以下のグラフの通りです。

令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果|文部科学省

不登校児童生徒数は、196,127人でした。(小学生は63,350人、中学生は132,777人)

この数字は、残念ながら過去最高の人数であり、8年連続の増加となっています。

令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果|文部科学省

不登校の原因|令和2年度で最も多いのは「無気力・不安」

文部科学省は不登校の原因として考えられるものとして、以下の3つをあげています。

・本人に係る事情

・家庭に係る事情

・学校に係る事情

それぞれについて、さらに詳しくみていきましょう。

本人に係る事情

児童生徒本人に何らかの事情がある場合をさします。

【生活リズムの乱れ・あそび・非行】(小14.0%・中11.0%)
・昼夜逆転生活を送っており、朝起きられない
・意図的に登校せず、あそびにいっている

【無気力・不安】 (小46.3%・中47.1%)
・漠然とした不安を抱えていて、登校できない
・登校の意志はあるが、心身の不調を訴えて登校できない
・無気力でなんとなく登校しない

文科省の調査によると、小・中学校ともに不登校の原因で最も多いのが「無気力・不安」でした。

全体の約47%にものぼり、登校したくてもなぜかできなくて、苦しんでいる児童生徒が多いことが伺えます。

家庭に係る事情

日々の生活や家庭環境の中で生じる出来事の場合をさします。

【家庭内の不和】 (小1.6%・中1.8%)
・両親が不仲である
・家族関係が良くない

【親子の関わり方】 (小14.6%・中6.2%)
・親と離れることに不安を感じている
(親が体調を崩している・互いに依存関係にあるなど)

【家庭の生活環境の変化の急激な変化】 (小3.8%・中2.5%)
・親のリストラや離婚などで急に生活が困窮した
・妹や弟が生まれた

文科省の調査によると、 小学生の不登校の原因で2番目に多いのが親子の関わり方でした。

また、家族にとってうれしい出来事(子どもが増えることなど)も

子どもにとっては大きな環境の変化であり、ストレスとなる場合があります。

学校に係る事情

学校生活を送る中で生じる出来事の場合をさします。

【入学・転編入学・進級時の不適応】 (小1.8%・中4.1%)
・新しい環境に適応できない

【学校のきまり等をめぐる問題】 (小0.7%・中0.8%)
・校則に適応できない、納得がいかない

【クラブ活動・部活動等への不適応】 (小0.0%・中0.6%)
・クラブ活動や・部活動についていけない

【進路に係る不安】 (小0.2%・中1.1%)
・進学に対して不安がある

【学業の不振】 (小3.2%・中6.5%)
・授業についていけない

【教職員との関係をめぐる問題】 (小1.9%・中0.9%)
・教職員に対して不満がある

【いじめを除く友人関係をめぐる問題】 (小6.7%・中12.5%)
・いじめではないものの、友人との間でトラブルがあった

【いじめ】 (小0.3%・中0.2%)
・いじめられたことにより、登校できない

文科省の調査によると、 中学生の不登校の原因で2番目に多いのが 「いじめを除く友人関係をめぐる問題でした。

思春期にさしかかり、友人関係で悩みを抱えている生徒が多いことが分かります。

不登校の原因が分からないときの対処法

突然、我が子が「学校に行きたくない。」と話したとき。

原因がはっきりとしている場合は、それを解決できるように考えることでしょう。

しかし、どれにも当てはまらない場合や「無気力・不安」の場合は、どうしたらよいか悩みますよね。

そうすると、「とにかくなんとかして学校に行かせなければ」と、焦りの気持ちが出てきます。

不登校の原因が分からなくても、無理やり行かせない

ここで、絶対にやってはいけない言動を伝えます。

・学校に行きたくないと言っている子どもを無理やり連れ出す

・不登校を悪いことであるように扱う

 

なんで学校に行かないんだ!行くぞ!ほら!(連れ出す)

不登校の本人自身も学校に行けない原因が分かっていない場合、無理やり連れ出されることは非常につらい思いをします。

また、子どもは「自分のことを親は理解してくれない」と感じてしまい、結果的に親子関係の悪化につながりかねません。


 

不登校なんて恥ずかしい!早く学校に行って!

不登校を悪いこととして扱うと、子どもは不登校の自分のせいで、親に迷惑をかけていると罪悪感をもちます。

自信をなくしてしまうことは、不登校の状態が長引いてしまう原因となります。

不登校の原因が分からないときにやるべきこと

不登校の原因が分からないときは、以下の4つを心掛けてみてください。

・子どもの気持ちを尊重する

・無理やり理由を聞き出そうとしない

・そのまま放置しない

・子どもが安心できる居場所を作る

子どもの気持ちを尊重する

 

今、○○はそう思ってるんだね。

まず、「学校に行きたくない」という子どもの気持ちを尊重しましょう。

ついつい「どうして?」「なんで?」と聞きたくなりますが、まずは受け止めてあげてください。

ここで「そんなこと言ってないで行きなさい!」と言うのは逆効果です。

無理やり理由を聞き出そうとしない

学校に行きたくない理由を、どうしても子どもが話そうとしないこともあります。

そのときは、「理由があるけど話したくない」「理由が自分でも分からない」かのどちらかです。

原因となる出来事がないか考えてみたり、学校での様子はどうだったかを担任に尋ねたりするなどしてみてください。

何度も何度も理由を聞かれると、子どもは話しづらくなってしまいます。

そのまま放置しない

 

もう本人次第だし、とりあえず放っておこう

不登校の原因が分からないと、親もつらくなってしまい、現実逃避したいと思うこともあるでしょう。

しかし、ここでそのような姿勢を子どもに見せてしまうと、子どもは見捨てられたと感じてしまいます。

あくまで、寄り添っている、見守っているということが伝わるような姿勢を、子どもに見せてあげてください。

子どもが安心できる場所を作る

「どうしてか分からないけど、学校に行きたくても行けない。」

原因が分からなくて子ども自身も混乱し、どうしたらいいのか不安に感じています。

子ども自身が安心して過ごせる環境を整え、学校以外にも居場所があると思えることが大切です。

もし家でも落ち着かない場合は、祖父母宅など別の場所で過ごすこともよいでしょう。

不登校の相談機関を紹介|自分だけで抱えないで

不登校は様々な原因が重なっていることもあるため、親だけで解決するのは難しい問題です。

また、我が子が不登校になったショックや、先の見えない不安、

ダメと分かっていても焦ってしまう気持ちを、自分だけで抱えるのは非常につらいことです。

知らず知らずのうちに、不安や焦りが子どもに伝わってしまってしまうこともあります。


不登校を解決するために大切なのは複数の大人で見守ることです。

まずは学校に相談し、各専門機関なども利用して、周りの力をたくさん頼りましょう。

不登校について相談できる公的機関

各自治体の児童相談所
(厚生労働省HPで地域別一覧を閲覧できます)

・各自治体の教育支援センター(適応指導教室)
(「地域名 教育支援センター」「地域名 適応指導教室」で検索してください)

ひきこもり地域支援センター
(厚生労働省HPで地域別一覧を閲覧できます)

各自治体の保健所・保健センター
(厚生労働省HPで地域別検索ができます)

精神保健福祉センター
(厚生労働省HPで地域別一覧を閲覧できます)

不登校について相談できる民間機関

NPO法人フリースクール全国ネットワーク
(現在の学校に籍を置いたまま通える有料の学習施設)

一般社団法人 不登校支援センター
(最大100分間無料で相談可能・2回目以降は有料)

不登校は、周りを頼りながら解決を目指すことが大切

不登校の原因を明らかにして解決し、再び登校できるようになるのは喜ばしいことです。

しかし、無理に解決しようとするのではなく、子どもの思いを受け止め、尊重することが最も大切です。

公的機関や民間機関をうまく利用しながら、多くの大人の目で見守っていきましょう。

 

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